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【フォーリー・煤竹耳かき】あやかし郷愁譚 ~縄のうれん 結~【縄結い・湯葉鍋】

【フォーリー・煤竹耳かき】あやかし郷愁譚 ~縄のうれん 結~【縄結い・湯葉鍋】

  1. 結の煤竹で左耳掃除(煤竹炙り) 18:34

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【フォーリー・煤竹耳かき】あやかし郷愁譚 ~縄のうれん 結~【縄結い・湯葉鍋】

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2020年1月29日公開

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ひととあやかしが共に暮らすことができる、最後の聖域。
四国、高知の山奥にある隠れ里。茂伸(ものべの)――
「恐れ」が変質していく中、誰からも恐れられなくなり忘れ去らて、消えようとしていくあやかしたちが、逃れるように集ってくる土地。

ものべのに移住したあやかしたちのほとんどがしあわせを掴み、自らを再構築していくなか――しかし、ものべのでもやはり、確たる立ち位置を築けないあやかしもまた、存在します。

縄のうれん。京の都で浮かれてすごすものたちの顔に、ざあっと縄のうれん――今の言葉で「縄のれん」をなすりつけ、ひやりと驚かす――ただそれだけのあやかし。
その最後の生き残りである、結(ゆえ)。

藁縄という存在そのものがナイロンロープやポリエステルロープに取って変わられ。
なんとかざあっと脅かすことに成功しても、「? コンビニ袋でも飛んできた??」と全く恐れてもらえなくなり。
どんどん弱っていくいっぽうの結はなんとかものべのへの移住に成功し。
けれど――やはり――ものべのでも結は……
藁縄は、藁ぞうりは、藁布団は――時代遅れの存在でした。

縄を綯っても、わらじを編んでも、なかなか売れない。
人とあやかしがともに暮らしていくためには、人のたつき――お金を稼ぐことがどうしても必要です。

そのために結が為し得る唯一の手段が、完全に時代おくれになっている――絶望的な状況であるといえましょう。

それでも結はあきらめず、人に受け入れてもらうため、人との縁を綯うために、街頭に立ち、必死で声をあげ続けます。

「草履~ 草履~ 稲藁草履はいかがおす……」

その声にきまぐれに足をとめた旅人が、あなた。

露頭に迷い貧乏にあげぐ結はそれでも、稲藁の魅力を信じ、つたえるために一生懸命、縄を、ことばを、紡ぎます。

ひたむきで真面目で、指先だけは器用だけれども、生き方は極めて不器用な結の声に、どうぞその耳を傾けて――

そうして結とよりそいあって、ふたりいっしょのあたたかな時間を、綯っていただけましたら幸いです。

藁と、藁縄とともにあり続け、それを使って人を驚かすことだけをその性(しょう)とするあやかし。それが、「縄のうれん」です。
ひょんなことから「結」という名を得て。
その名を想われる力によって、他の縄のうれんたちが次々消え去ってしまう中、結はぎりぎりなんとか、ものべのへの移住に成功しました。

けれど、ものべのでも縄の、藁のニーズはそうそう多くはありません。

心機一転の暮らしのはずが、ものべのでもやはり、結は困窮の中へと追いやられてしまいます。

けれども結は、誰よりも、縄の、藁の魅力を。
そのあたたかさを、やわらかさを、しなやかな強靭さを知るあやかしであり――
そうして稲藁同様に、あたたかでやわらかで、しなやかで強靭なあやかしでもあります。

ですので、決してあきらめず。
いつかきっと出会えるはずの、結が綯われるべき相手――
きっと、あなたに出会うため――今日も、ものべのの四つ辻に立ち、声を張り上げつづけるのです。

その声にどうぞ、足をとめてあげてください。
そうして結の指先とともに、縄を、わらじを、さだめを綯ってあげてください。

その先できっと。
稲藁の持つ穏やかなあたたかさとやさしさが、心地よい音と香りとで、あなたを包み、いやしてくれることでしょう。

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