『幽世高校・怪異相談室』
放課後の予鈴が鳴り終わると、校舎はいつもより静かになる。三年二組の教室を出た月島すずは、誰もいない廊下を早足で歩いていた。目指すのは旧校舎の端、かつて資料室だったという小さな部屋――今は「怪異相談室」という手作りの木札が下がっている。 「遅かったな、すず」  扉を開けると、窓際の椅子にもたれた深町蒼一が本から顔も上げずに言った。すずと同じ三年で、この部活動――正確には「同好会」の部長を名乗る男子生徒だ。