デモムービー
■あらすじ 今は昔、安倍晴明という翁がおりました。 その者、愛されるべき娘を守るため罪を重ねるのです―― 人と触れた瞬間、肌に痛みを感じる不思議な体質を持つ孤独な少女がおりました。 彼女は夏休みを数日後に控えたある晩、平安時代へと時間移動してしまうのです。 帝がおわす都。 雅な世界と死の世界が折り重なる場所。 都を彷徨う少女を拾うは柔らかな金色の髪をした少年でした。 少年は言うのです。  ――次の満月の夜、元の場所に還す、と。 少女は返します。  ――わかりました、と。 他人事のような響きに少年は眉を顰めます。 しかし、少女にとって少年の言うことが真実であろうと、気休めであろうとどちらでも良かったのです。 元の時代に自分のことを案じる者は唯のひとりも存在しない、と思っているのですから。 少年は少女の虚無的な性格に気付き命じました。  ――「生きる屍」から「生きる者」に変われ、と。 しかし、その変化こそが不幸の始まりでした。 少女の抱く想いが愛する者を歪め、男たちの胸を狂気で満たしていくことになるのです。 少女は大切な者を守るため、帰らなければなりません。 今生の別れとわかっていても。  ――全ては、愛する者を守るために。