オープニングムービー
今までは徒歩で10分ほどだった通学が、親戚の家に厄介になり始めてからは、
片道1時間以上のローカル線での電車通学に。
うんざりしていた一太郎だったが、決して悪いことばかりではなかった。
近寄りがたい孤高の美人として有名な、同じクラスの在田川鳰(ありたがわ にお)。
密かに憧れていた彼女を、いつも同じ時間の同じ車両で見かけるようになったのだ。
声をかけても、最初はつれない反応ばかりだったけれど……。
ある日、駅のホームのベンチで倒れていたところを助けてから、少しずつ彼女の態度が変わってくる。
「さん付けとか、いらないから」
ふたりを乗せた電車が進むように、ふたりの仲もどんどん進む。
……だけど彼女は認めない。
自分は、あんたの彼女じゃない。
そう言いながら、真っ赤になって蕩けているくせに。
電車は必ず、目的地に着く。
ふたりの仲は、果たして……。